なぜ、同じことで悩んでしまうのか
「また同じことで悩んでいる」
そんなふうに感じることはありませんか。
相手は違う。
場所も違う。
状況も前とは違う。
それなのに、なぜか同じようなことで傷ついたり、腹が立ったり、不安になったりする。
人間関係でも、仕事でも、家族との関係でも、似たようなことは起こります。
これは、目の前の出来事だけが原因ではありません。
私たちは、今起きていることを、そのまま見ているようでいて、実はこれまでの経験を通して見ています。
過去に傷ついたこと。
否定されたこと。
我慢したこと。
寂しかったこと。
怖かったこと。
そうした経験は、終わったように見えても、心の中に「反応」として残っていることがあります。
そして、似たような出来事が起きたとき、その反応が動き出します。
たとえば、同じ言葉を言われても、何とも思わない人もいれば、深く傷つく人もいます。
言葉は同じです。
違うのは、その言葉を受け取る心です。
だから、相手を変えても、場所を変えても、自分の中に同じ反応が残っていれば、また似たようなことで苦しくなることがあります。
ここで大切なのは、
「また同じ失敗をした」
と自分を責めることではありません。
「なぜ私は、ここにこんなに反応したんだろう」
と、自分の心を見てみることです。
怒りが出たなら、その奥に何があったのか。
悲しくなったなら、何が悲しかったのか。
不安になったなら、何を失うのが怖かったのか。
心は、意味もなく反応しているわけではありません。
そこには必ず、自分なりの理由があります。
そして、その理由に気づけるようになると、同じ出来事が起きても、今までとは違う受け取り方ができるようになります。
出来事を変えること。
相手を変えること。
環境を変えること。
それが必要なときもあります。
でも、それだけでは変わらないこともあります。
そんなときは、外側ではなく、自分の内側を見る。
自分の心が何に反応しているのかを知る。
そこから、人生の見え方は少しずつ変わっていきます。
心の仕組みを知ることは、自分を責めるためではありません。
自分を理解するためです。
もし今日、何かに強く心が動いたら、
「なぜ私は、ここに反応したんだろう」
と、一度だけ自分に聞いてみてください。
そこに、今まで気づかなかった自分の心が隠れています。
岡本マサヨシ
『こころのてびき』




